日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の新規制基準に基づく審査で、原電が調査資料の記述を書き換えていたことについて、原子力規制委員会の更田豊志委員長は12日の会見で「本当にひどい」などと厳しく批判した。規制委は14日に、原電から書き換えの経緯などを聴取する。
書き換えられたのは、原子炉建屋直下の断層が活断層かどうかの判断に必要な敷地内のボーリング調査の資料。採取した地層を顕微鏡で詳しく調べた結果が肉眼による調査と異なったため、元の観察記録を削除して無断で上書きしていた。7日の審査で規制委に指摘され、原電は「悪意はない」などと説明した。
観察記録は科学的な「生データ」にあたり、本来は書き換えてはならない。更田委員長は「あまりにも初歩的な、科学や技術に触れる際に最も初歩的に教育を受ける部分が欠落していた。これはちょっとひどい、というのが率直な感想」などと述べた。この断層が審査で活断層と判断されれば運転できなくなる。
科学的な調査や研究で手法によって違う結果が出た際には、記述を追加するのが普通で、生データを後の結果で上書きすることはやってはならない。文部科学省の研究不正に関するガイドラインでは、研究資料に手を加えて本来の正しい結果から書き換えるような行為は「改ざん」にあたるとされる。(小坪遊)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル